ゆかりさんと学ぶ心の科学入門 その1 論理的推論
上記リンクで動画本編に飛べます。
皆さん、いきなりですけど、
「トースト、落としたことありますか?」
私はないです。
はじめに
皆さまには今回この動画で三つのことを紹介しましたね。
「ウェイソン選択課題」、「コイントス問題」、そして今回の解説内容となる
「トーストの転落(マーフィーの法則)」です。
まぁ、今回は今までのように、解説というよりは補足という意味合いが強くなりますので
そこまで長い記事にはならないと思います。
冒頭にも申し上げた通り、トーストを私は落としたことがないのですが、
Robert Matthews(ロバート・マシューズ)はイギリス人なのでパンをよく食べられるのでしょう。
この方のすごいところは、物理学、科学、天文学、暗号学などに精通しているという点です。
ついでに言えば去年還暦です、おめでとうございます。
それとお話ししたかどうか怪しいので、しっかりと解説しておきます。
イグノーベル賞はアルフレッド・ノーベルの親戚「イグネイシアス・ノーベル」の遺産で運営されている賞で
「楽しくてためになる、おバカな研究(意訳)」を表彰する、といった内容となっています。
(注、イグネイシアス・ノーベルは架空の人物です。)
ノーベル賞にない「イグノーベル心理学賞」もありますので、心理学をやってる人はこっちを目指しましょう。
研究結果が面白い内容であったというだけで、おふざけでやっているわけではありません。
ノーベル賞ほどの富と名誉は手に入りませんが、名声は少なくとも手に入ります。
なぜか日本とイギリスが結構多く受賞しているそうです(褒められたこととして受け取っていいのかは微妙ですが…)
あんまり私はイグノーベル賞には詳しくないのですが、
「牛のふんからバニラの香料「バニリン」を抽出する研究」とか、
「タマネギから涙が出る成分の特定をする研究」とか
「ストレスを受けたカエルが発するにおいを嗅いでカタログ化する研究」とか
「座って行う大腸内視鏡検査~自分の肛門でやってみた~」
みたいな研究で日本人は受賞しているようです(うん……)。
授賞式も結構楽しいみたいで、
「ミートボールに敬意を払う」とか
「講演を聞いてるときには紙ヒコーキを飛ばす」とか
色々なルールがあるみたいです。
(落ちた紙ヒコーキは物理学者のロイ・グラウバーが毎回片付けるが、
一度だけ「ノーベル賞を受賞してしまった(白目)」ため出席できなかった。)
テレビで放映してほしいですね…そんなの絶対見たいじゃないですか!!!
トーストの転落
さて、トーストっていったいどう落ちるんでしょうね、気になります。
そういえば先日「コイントス問題」をやりました。
大方の意見では
「バターが塗ってある方が重いから下向きに落ちる」
という予想でした。
それは言い換えると、
「バターを塗っていなければ基本的に2分の1の確率で落ちる」
とも言えます。
が、ここで思い出していただきたいのは、
「トーストは人間の手から(重力で)落ちる」
「バターは確実に落ちる前は上を向いている」
「コインは弾いて(人の力で)跳ね上げる」
「コインは空中で相当数(力と高さはランダム)回転してから落ちてくる」
あれ、これはちょっとおかしくなってきましたね。
少なくとも2分の1説はなくなりますね、バターが重いという話は可能性的にあり得ます。
問題点は、
「人の手の高さ(食事中なので座っている?)」から何回回転できるか?
でしょうか。
ということを真面目に研究したのがこのロバート・マシューズという人なんですね。
欧州物理学会の論文記事は有料会員でないと概要以外アクセスできないので、
きちんと本文を読めていないのですが、結果に進みます。
(ちゃんとした資料用意してないんだったら物事を語るなって思った人はブラウザバックしてください。)
いいですね?
それでは参ります
トーストは助かるのか?
どうやら、Matthews (1995) によるとトーストは
人の腰くらいの高さから落ちると、上(バターの面)が下になって落ちる。
らしいのです(BK{物理学的に考えて})
つまり、「宇宙の不可避の特徴(概要からの日本語訳)」とのことです。
宇宙の不可避の特徴=自然法則=重力、ということです。まぁわかりますね。
なので動画内でお話しているように
「3メートルから落とせばいい感じに表になる」という話になっているわけですね。
つまり…
「食事中に落としたらカーペット(床)は基本的には助からない」
と考えた方がいいと思います。
当然ですが
「落ちたトーストは食べられませんのでそもそも助かるとかそういう次元ではない」
と考えています(見出しを完全に否定していくスタイル)。
さて、それに対する私の解決策は、
「バターを塗った面を下にして持つ」です。
持ちにくくて落とす確率は上がるかもしれませんが、カーペットを汚す心配は無くなります。
(嘘です、無くなりはしません。)
落としたらトーストは助かりませんし、手も汚れますから、勝負に勝って試合で負けた感も否めません。
トーストを落とさないように机の上で気を付けて食べましょう。
私はパンくずが落ちるのが嫌なので、行儀は悪いのですが、
机の上に頭を持って行ってテーブルの上にある皿の上で齧ります。
(それでも落としたことはないのですが…)
どうしても落としたくないのならばバターロールとかにしましょう。
食パンだから落とすのです。
あとどっかのおじさんの話では
「食パンにバターを塗るのではない、載せるのだ」とも言いますので、
食べるところだけバターを載せるのもいいですね。
私は普段使いはマーガリン(ネオソフト)派です、まぁ余談ですけど。
体に悪かろうが何だろうがネオソフトは安くておいしい。
近所に雪印乳業(今は雪印メグミルク?)の社員さんが住んでるからとかってことではないです。
でも私は、「一度や二度の過ちで見限る」ほど心の狭い人ではないので雪印を応援しています。
ネオソフトの商品ページを見ると、雪印の真摯さがわかりますね?
ほら、ゲームボーイ版のマリオでも
「おいしいバターは雪印~♪」って歌詞があります(ないです)(ちなみに中華風のBGMのステージ)
本題
さて、動画内でも触れていましたがこの動画シリーズでの目標は
「本当にそうなのかな?」
「もしかしたら違うんじゃないかな?」
ということをまず最初に考えていただきたい、(癖にしてほしい)という点です。
私が大学で入ったゼミの教授も、
「私が言ってることをまず疑ってかかってください。」
といっています。
これは、
「馬鹿正直に聞いて、その通りです、では新たな知見は生まれない」という点と
「自分で納得するように考えないと、知識として記憶することはできない。」という
二つの意味を持っています。
相手(ここではゆかり先生)が話すことを
聞く人(ゆっくり霊夢)とそれを見る第三者(視聴者)という構図で進むのですが、
皆様には「聞く人」と「第三者」の視点をそれぞれ持っていただきたいと考えます。
(解説動画なので上から目線とかでなく、「私の目標」です。)
こころの科学入門では「有名な効果」「有名な心理学」「有名な実験」について触れていく傍ら、
問題解決に役立つ思考方略を学んでいっていただきたいのです。
自分も学びつつ、皆様にも学んでいただきたい「考え方の1つ」を2つ(と1つ)です。
・論理的思考(ロジカルシンキング)
・批判的思考(クリティカルシンキング)
です。
ここで、「批判的思考?なんだ?批判…?」と思った方はわかってきています。
批判とはもともと「しっかり検討し、評価、判定すること。」です。
「あげつらい、馬鹿にする」は、新しい意味です(言語は変化するものなので間違いではない)
まぁ、簡単に言えば
論理的思考とは、「順序だてて物事を合理的に考えること」
批判的思考とは…上に書いたのでよいでしょう、そういうことです。
今の「批判」の話ですが何となくは理解しているけど、言葉の意味を詳しく語れるか怪しい、
というような言葉がある場合は、。きちんと調べる癖をつけるのもいいですね。
(もちろん私も勘違いして使っている言葉があると思います。)
あと一つ付け加えるとすれば先ほどの「第三者の視点」を持つことです。
・メタ認知(自分自身の認知行動を認知する)
とも言い換えられます、メタは「高次の」という意味です。
認知の在り方に対し、認知するという考え方です。
つまり「なるほどー」と思っている自分を「ほんとにー?」と見直すという考え方です。
「一度立ち止まり、自分が受け取った情報に対し、自分ごと見つめなおす。」
これも問題解決において非常に重要な考え方となります。
自分の中に「自分を見るもう一人の自分」がいるというイメージです。
ソースはちょっとないのですが、蒸気機関車の話を知っていますでしょうか?
大昔の人びとは馬より早い乗り物が欲しかった。
蒸気機関を使えば簡単に機関車など造れそうなものなのですが、
蒸気機関の発明から、蒸気機関車の発明までにはラグがあったのです。
なぜか…
「車輪を持った乗り物」という考え方ができず「蒸気機関で動く馬」を作ろうとしていたからなのです。
当然そのころは馬車が多かったですから、早く動く馬車が欲しいと思うのは自然なことです。
そこでとある考え方が生まれました
「早く移動できれば馬車じゃなくてもいいんじゃないか?」(メタ認知的思考)
そして、蒸気機関車が生まれた。
というものです、ひらめき、発想というものの根幹にあるのは問題解決です。
問題解決のための思考方略を身に着けていきたい、ということですね。
クイズが解けるかどうかは「知識」ですが、人生では「思考法」も有効になっていきます。
クイズは言ってしまえば「知ってるか知らないか」だけの話なんですね。
トーストの転落に対する問題提起にしても、
「笑い話で済ませる人(あー!!あるある!!)」
「ネタで済ませる人(想像できて草)」
「勘違いする人(表と裏しかないんだから2分の1で、落とした時の印象が強く残るだけや)」
「勘違いする人(バターを塗った面のほうが重い、QED)」
がほとんどだったため、事実とは異なる情報が流布していたと言えます。
「もしかしたら、落とす高さと角度が問題では?」(メタ認知的思考)
と考え、実験にまで移したロバート・マシューズはすごい、という話です。
「常識でも疑ってかかり、自分が疑問に思ったことは納得するまで検証(質問、観察)する。」
ということを言っているのであり、
どんなことにでも斜に構えて対応しようという話ではないので悪しからず。
それでは今回はこのあたりで。
引用文献
Matthews, R. A. J. (1995). "Tumbling toast, Murphy's Law and the fundamental constants". European Journal of Physics. 16 (4): 172–176.
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