【心理学書籍】自立と孤独の心理学 【レビュー】

本日はこちらの本についてご紹介していきたいと思います
どうぞよろしくお願いいたします。

一応ルールとして、当たり前ではありますが、
自分で最初から最後まで読んだ本を、自分なりにレビューする。
というものとなります。

基本情報

タイトル

[新版] 自立と心の心理学 不安の正体がわかれば心はラクになる

著者

加藤諦三 (社会学者)

ISBN

978-4-569-77774-0

概要

本著は、著者自らが青年時代に送ったとされる神経症的な「愛着行動」や「分離不安」といわれる症状を

イギリス出身の精神学者ジョン・ボウルビィ(John Bowlby)の

「母子関係の理論」を主軸に紐解いていくものとなります。

この本を読むにあたり、どういった人に当てはまる内容なのか説明すると、

・しばしば「嫌われるのではないか？」と不安に思う

・昇進すると不安でストレスがたまる

・旅行などに出掛ける際、行ってしまえば楽しめるのに家を出るのは億劫

・「何かを失くしてしまう」ことを極端に恐れる。

等といった症状がある人、またはそういった人が知人にいる人

におすすめの書籍です。

上記の内容に関して

なんでこの人こんな性格なんだ？

何をそんなに恐れてるんだ？

と客観的に感じてしまったら、この本を読むと理解が深まると思います。

ちなみに私は前者(症状がある)です、ネタのために買った本でしたが、非常にためになりました。

(「心理学」と書いてあったから買った。)
ツイッターのプロフィールにもあるようにバッドエンド恐怖症で、
どっかでお話ししたかと思いますが、「最終回が怖い」というたちなので…←

「自分のそういうところを治したい」という理由で心理学科に入ったわけではないです…←

考察

引用文献6件 (巻末記載がないため数え間違いの可能性あり)ではありますが、

詐欺的な表現は、ほぼない、と思われます。

一部説明が不足している部分なども見受けられますが、調べりゃわかりますからね。
心理学を学ぶ方向けの学術書というよりは、悩める人へ手を差し伸べる書籍といえると思います。

ボウルビィの書籍を中心に文章が進行していきますので、
児童心理学、児童精神医学を主体とした母子関係について詳しく記載があります。
なので、上記のような症状がある子供、だけでなく
上記のような症状のある大人(親)にも読んでいただきたい本ですね。
もちろん自分の「お子さん」、あるいは「自分の親がこういう人なんだよな。」
という人も目を通しておくと、その性格への理解がしやすくなると思います。
だいたいこういう傾向のある方は(自分もそうでしたが)
「私のことは私が一番わかってるんだから、他人の意見なんて聞く必要はない。」
としてこういった書籍を読みたがらない方が多いです。
タイトルも、「子の(大人からの)自立」だけでなく「親の(子供からの)自立」という両方の意味があるようです。

「メランコリー親和型」(本著P67にて唐突に現れる単語)というのが出てきます。

ドイツ人のテレンバッハ(Hubertus Tellenbach)により提唱された性格の特性のようなもので、

簡単に説明すれば、しっかりもの、自身の環境の変化に弱いタイプの人といったところでしょうか。

概要で言ったような性格の人のことを指します。

(厳密な定義とは少し違います、知りたい人はググりましょう)

文脈から何となくは予測ができますが、多分わからない人が多いと思います。

それら性格は、どのようにして生まれたか、そして、どう付き合っていくのか？

というようなところになると思います。

感想

想像していた10倍ほど楽しめる内容でした、(作者さん上から目線ですみません)。
私のような「嫌われ恐怖」、「喪失恐怖」(いずれも分離不安)があるようなタイプの方は読むべきだと思いました。
(こういうの自分から言う人は中二病とかっていう人いますけど、
 専門で学んでる人からすれば、そんなことは全くないです。
 それで他人から関心得ようとしてるのが目的とかだったら話は別ですけどね。)
何よりも、作者の加藤さん自身が、昔から分離不安にあったときにどう言い聞かせていたか、
どう言った対応をしていたか、という言わば体験談として語られているものであり、
自身の苦悩を追求した結果の集大成なのではないかと考えられる。
この本の中で

人は傷つくまい、傷つくまいとあまりにも防衛的になる結果、かえって普通の人より深く傷ついてしまう。

ということが言われています。
これが、前書きにありながらも最も「的確なアドバイス」であると感じました。
それがわかっていないから、深く傷つくって人が多いと思うんですよね。
で、それがわかった(読んだ)時に「そういうことだったのか」と少し楽になるんです。
うつ病や、依存性のある人の事にも言及がしてありますが、
根底は同じなんですね。
「恐怖」と「不安」。
これらを解消、あるいは緩和することによって、症状も解消、緩和していける。
というようなことが「当事者にとっても分かりやすく」書いてあります。

評価

信頼度
　★★★★☆

読み物としての面白さ
　★★★★★

心理学書籍としての有用さ
　★★★☆☆

オススメ度
　★★★★☆

こんな本です↓