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視線で嘘を見抜けるか?


「質問をしたときに相手が右上を見ていたら嘘をついている可能性が高い。」

「人は思い出すときは左上を見るものだ。」


そんな話を聞いたことがあるかもしれません。
自分に当てはめて「あ、なんとなくそうかも…」なーんて感じたりしますね。

実際の所
嘘に関する国際研究チーム(Global Deception Research Team)の
「嘘の世界」(A world of lies)という論文では
あなたは他人の嘘をどう見抜くか?
という質問に対して、「視線を逸らす」が63.66%ともっとも回答率が高かった
という調査結果を出しています。
ちなみに対象国家は我々の住む日本を含め58か国。

さて、それでは解説に移りましょう。

(尚、当ブログはルール上、
特定の個人、団体を誹謗中傷、批判する意図で文章の引用を行っているわけではなく、
「引用文献として」わかりやすい例を使用しています、ご了承ください。
また、この記事はどちらが正しいという話をするのではなく、
現在の研究においては「この説」が有力である。という話をさせていただいているのみとなります。
「こういった書かれ方がしてある場合がありますが、現在はこのような説が有力です。」
という趣旨の内容になります。
その結果、特定の個人や団体に不利益が生じるような書き方がなされる場合がありますが、
理解できる方のみ先へお進みください。
また当該、特定の個人、団体へバッシングなどを行うことのないようにお願いいたします。
理解できない方はブラウザバックを推奨いたします。)

視線で嘘を見抜く方法


恋愛心理学などの研究によれば、脳の動きと視線の動きは連動している、とされ
一般的に以下のように視線により思考を判断できるとしています。

①左上を見る(視覚形成)      未体験の事柄を想像する時
②右上を見る(視覚記憶)      過去の体験や記憶を呼び出している時
③左を見る(聴覚形成)        聞いたことのない音を想像する時
④右を見る(聴覚記憶)        会話や記憶にある音を思い起こす時
⑤左下を見る(嗅覚、味覚、感覚) 身体の変化や感覚に注意を向けている時
⑥右下を見る(内在的な言葉)   自身への問いかけや独り言をする時 
 (明石こころのホスピタル様のブログ記事より引用)


一般の病院です。
引用しているので、当然名前はしっかりと記載しなくてはなりませんが…。

で、こういった話はご存じの方もいるかもしれませんが
「1980年より前」に調査された心理学研究の論文の内容が中心となっています。
(詳しく全部見ているわけではないのでどれを参考にしてるのかはわかりません、すみません。)
視線 嘘 心理学
で調べると、他にも様々なことを言っている記事が見つかると思います。
(いくつかのサイトで照らし合わせるとつじつまの合わないものも出てきますが…)
まぁ、病院(医者)が書いている文章が一番信憑性が高いと思ったので引用させていただいた次第です。

さて、ここでいくつか気になる点があると思います。
まず「恋愛心理学」なんて都合のいい学問はあるのか?
ええと、テレビとかでも結構言われている印象があります。
先日レビューしたDaigoさんとかもその辺でしょうね(オトナの心理学)。
端的に言ってしまうとないです。
ないと言ってしまうのは言い過ぎなのですが、認知心理学、臨床心理学、社会心理学に並ぶか?
と言われると違います、専門的にやってる人はいるとは思いますが…
領域的には、行動主義心理学、社会心理学ですかね。

 さて、皆さんこの方法、信じていますか?

様々な説をネット上では見ることができます。
「嘘をつくとき目をそらす」
「嘘をつくとき瞳孔が開く」
「嘘をつくとき'まばたき’が増える」
などなど、目に関する嘘を見抜くとされる方法はたくさんありますね。

これらの情報に、「根拠となる文献」が明示されていることはありますでしょうか?
私は少なくとも見つけられませんでした。
あったとしても「心理学の研究では…」、「心理学者によると…」くらいです。
誰がいつどこで発表したものなのか?記載してあるケースはほぼないです。
発表の重要性ですが、当然「査読」(チェック)がされているかいないかなので、
自己満足の文章なのか、客観的に実験結果が評価されているのかとの境目になります、
紀要論文を引用すべきでないという意見はこのあたりからきているわけですね。
まぁ、端的にまとめますと
出典が示されていないということは、その情報には信憑性がない(≠誤り)ということになります。
嘘か本当か分からないけど、さも本当のように書いている。
という状況となっているわけです。

嘘の心理学


ここで、
こういった「嘘」関連を専門に研究している心理学者がいればいいのに…
と思った方はいることでしょう。

います。
文京学院大学に村井潤一郎という教授がいまして、
あの「ナショナルジオグラフィック」でも2017年に取り上げられた、業界では有名な方です。
心理学科の生徒さんだと「ya(やわらかアカデミズム)よくわかる心理統計」の著者と言えば通じるでしょうか。
(私はその本は使ってないんですけども)
見出しにある「嘘の心理学」という本を出している方でもあります。
(心理学的手法を用いて嘘の見抜き方を解説する本ではありませんのでご注意を。)
後は統計ソフト「R」の解説書を作ってるので、それを使ってる大学は参考図書にしてるのかも…?
私は何度か言ってますが統計ソフトはSPSSでした、違いは判りません。

ちょうど2017年と言えばアメリカで起こった虚偽発言に対しオルタナティブファクト(もう一つの事実)という言葉が使われた年でもあります。
昨今、オルタナティブファクトは増加傾向にありますよね、
というよりむしろ、タネがバレていると言った方が正しいのかもしれません。

注)オルタナティブファクトとは
事実ではない嘘の事柄を事実であるかのように故意に語り、自分の説を嘘ではないと主張するときに使われる手法。
悪い意味で言う口八丁手八丁といった感じですね。

上記ナショナルジオグラフィックのWebナショジオでは、5回にわたり「嘘」の多面的な解説を行っていますので、
ぜひとも興味がある方はお読みください。
(この記事を書く上でも存分に参考にさせていただいております。)

さて、この嘘の心理学に関してですが、
内容としては「心理学と嘘の関係性」というものがメインになるかと思います。
嘘か真か言われている、この「視線」によって、あるいは「行動」によって、
嘘を見抜くという方法は、果たして正しいのか否か。
という話をしていきたいと思います。

実際の学術的な内容としては引用文献の
Webナショジオ
「研究室に行ってみた。文京学院大学 嘘の心理学 村井潤一郎」
を読んでいただいた方がいいと思います、専門家の意見をそのまま聞くことは非常にありがたい機会ですので。
もう答えだけ知りたいという人は
下の方の黄色文字「引用文献」からご覧ください。
1秒で答えが見られますので(第二回の表題)。

私は、論理的に紐解いていきましょう。

論理的に考える嘘と視線の関係


さて、目線で嘘を見抜けるかどうかですが、
ググってみましょう、いくつも出てきます。
正面から見ての視線を書いていきますね?
・利き手側の上を見ていたら本当
・左上を見ていたら嘘
・左上は過去を思い出している(つまり本当)
・嘘をついている場合目線を合わせて話す

いろいろ出てきます。
さて、ここで
「真逆の事を書いている人もいる」という現実に突き当たります。
画像検索をすると、ご丁寧に目の写真とその意味を書いている画像がいくつか出てきます。
その中にすら、左上が嘘、右上が嘘両方がいるのです。
これの原因は何でしょうか?
恐らくですが、
内容をパクる時に本人の目の向きなのか、正面から見た向きなのか理解せずに書いている。
ことが要因だと思います。
これを立証するためにどのような研究をすればいいか皆様にはわかりますでしょうか?

これは簡単です、「アイカメラ」という眼球運動を記録する装置が心理学界隈にはありますのでこれを使えばいいのです。
(ちなみに私は卒論で使いたかったのですが、大学になかったのでダメでした。)
ですが、そういった情報は一向に流れてきません。
また、海外の論文には結構嘘についての論文があったりしますが、たいてい相関はないという結論が出ています。
Mann, Virj, & Bull. (2004)による「Detecting True Lies: Police Officers' Ability to Detect Suspects' Lies.」
なんてのもあります。
警官が容疑者の嘘をきちんと見極められるのか?という内容です。
日本ではやれなさそうな実験ですねぇ…
(「とある研究では批判」をする弊害は、何かを発言するときに一つは文献を呈示しなくてはならないことですね…←)

というよりですね、
世界各国、都道府県など様々な文化があるのにもかかわらず、
考える、という行為を行う際に全員が全員同じ目の動かし方をするか?
という話なんですよね。
嘘を見抜くという言い方をしているのでわかりにくくなっている気もしますが、
皆さん何かを考える時にどこかを向きますか?
「うーん…」とコナン君のように少し下を向く人を射れば
「ええと…」と頭の上に吹き出しを作る人もいるでしょう。
「ふーむ…」と目を閉じる人もいるんじゃないでしょうか?

嘘をつくときだけ目線がこっちに移動する(全人類共通)

そんな虫のいい話があると思いますか?
ないでしょう。
その「嘘」のエッセンスによっても違うと思います。
「しっかりと練られた嘘」
「口から出まかせの嘘」
「自分すらも半分信じかけている嘘」
「嘘を嘘とはっきり認識していて悪気のない嘘」
「悪気があっておどおどしながら話す嘘」
全部同じなわけがないですね(無いとは言い切れませんけどね)。

嘘をつく過程で、緊張からおどおどする人がいるじゃないか!!

という人もいるかもしれません。
それは、「おどおどするやつはおどおどするし、堂々とするやつは堂々とする」
それだけの話なのです。

でも私は嘘をつくときはなんとなく左上を見てる気がする

そういう人もいるでしょう。
それは、嘘をついたときにたまたま左上を見て、その記憶だけが鮮明に残っているだけ。
あるいは、そのような話を聞いてつい見てしまう癖がついた、のいずれかでしょう。
経験と情報が合致した記憶というものは記憶に残りやすいですね。
○○したら上手くいった、とか××したらひどい目に合ったとか。
それの逆です、ジンクスとも言い換えられるでしょう。
「××するといつもろくな目に合わない。」
それは××したときにたまたま悪いことが何度かあったのを
脳がしっかりと記憶してくれているからです。
偶然なのにもかかわらず、それに因果関係があると思いこむことは人間少なくありません。

ちなみに私の場合は、
「靴を買うと誰かが死ぬ」
というジンクスがあります。
今でも「靴の入っている箱(棺桶のイメージ?)」は怖くて持ち帰ることができません。
ウサギが死んでしまったときに、靴の入っていた箱にバスタオルや、毛布を敷いて入れて、
焼き場に持っていった記憶があるので、おそらくそのせいでしょう。
私が怖がるので、家族も気を使って靴の箱をお店で捨ててきてくれます、
ありがたいことですね。

ええと話がそれました。
ともかく、人は、○○すると××するという因果関係が必ずある。と思い込みやすいような気がします。
ついでに言うと、これはオペラント条件付けによるものです。
嘘をつくと汗をかくとか、心臓の鼓動が早くなるとか。
そんなものは必ず起こることではないのです。
ばれないかドキドキする→汗や、心拍の増加
これだけです、決して嘘そのものがトリガーではないです。

オペラント条件付けと迷信に関して有名なたとえ話があるのですが、
「日が暮れてからずっと東の方角へと祈りをささげると、そのうち願いが通じ日が昇る」
というものがあります。
その僧侶(?)は毎日毎日、自分が祈りをささげることで朝が来ると信じ込み、
日が沈んだ後東の空へ向かい礼拝を続けています。
ある時一人の若者が、
「そんなことをしなくても日は登ってくる、今日一日くらいは休んではどうか?」
といったところ僧侶は
「世界中の人々に迷惑がかかるので、一日たりとも休むわけにはいかない。」
といったそうです。
なので迷信というものはなかなかなくならないものなんですね。

話がまたずれてしまいました。
話を戻しますが、嘘をつくという行為に、様々な現象が誘発されます。
その中で起こりやすいのが心拍数でしょう。
心拍数は自分で操作することはできません(息を止めれば一時的に減らせますが…)。
目線なんてものは自由に動かせるんです、基本的に自由に動かせるものは勝手に動きません。
瞼は閉じれるけどまぶしい時は勝手に閉じる→瞬きは止められませんね。
脚気検査で足が勝手に動く→それは神経にあたって反射で動いているのです。
嘘をつく(後天的でかつ高度な処理)であれば、反射でどこかが動くということは少考えづらいでしょう。
瞬きも脚気も反射(先天的)ですからね。
まぁ、嘘をつくときに見るのであれば心拍数でしょうね。
誰でも「嘘ついてない?」なんて言われたらドキドキするもんだと思いますけど。
嘘をつきなれている人、そもそも嘘に罪悪感のない人は心拍数なんて変わりません。
だって、ただ喋ってるだけなんですから。
喋ったことにより、心拍数が上がることはあるかもしれませんけど
それはまた別の話…。

引用文献

web文献

明石こころのホスピタル
「目は口程に物を言う」
http://www.akashihp.com/blog/blog-psychology/7180/
Webナショジオ
「研究室に行ってみた。文京学院大学 嘘の心理学 村井潤一郎」
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/web/17/053100009/


資料文献

The Global Deception Research Team (2006). A world of lies. Journal of Cross-Cultural Psychology, 37(1):60-74.
Mann, S., Vrij, A., & Bull, R. (2004).Detecting true lies: Police officers’ ability to detect deceit. Journal of Applied Psychology, 89, 137-149.

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